紙上診察室 〜3歳の息子の肛門に痔核

3歳の息子の肛門に4つの痔核ができています。出血や痛みはなく排便のときに出るくらい。出血したり、戻らなくなるまでほうっておいていいのでしょうか。(愛知県 33歳・女性)

水分まめに便通を良く

小児の肛門疾患は大人と同様に痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう、直腸脱などがあります。小児期は筋肉が未発達で支持組織も弱く、肛門粘膜が脱出したり、腫れやすくなりますが、成長とともによくなるものがほとんどです。

ご質問のような肛門部が腫れる疾患では、痔核、裂肛による「みはり痔」や直腸脱が疑われます。便秘や下痢、硬い便で強くいきむことなどが原因となります。

痔核では小児の場合、内痔核の脱出はまれで、ほとんどが外痔核の腫れです。みはり痔は裂肛を繰り返すうちに肛門の皮膚がひきつれていぼ状になるもので、肛門の前後にでき、裂肛の痛みや出血を伴います。直腸脱は直腸が裏返るように肛門から脱出する状態です。

痛みや出血がなく、普段の状態で腫れていなければ、外痔核が最も疑われます。ひどく出血したり、戻らなくなるようなことはまずありません。便秘や出始めの便が硬い場合には、こまめに水分をとったりヨーグルトなどの乳酸菌などをたくさん摂取して、便を硬くしないことが重要です。便通が改善しても症状がよくならなかったり、腫れ、痛み、出血がひどくなるようでしたら、肛門科の受診をおすすめします。

野垣病院副院長 柴田 純孝

2006年11月3日 中日新聞 掲載

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